SpeeZ

戦略だけではもの足りない。3つの新規事業を通じて得た、事業開発の面白さ。

2014年に新卒でSpeeeに入社した押田さんは、新卒入社後3年間で、3つの新規事業の立ち上げに携わりました。この記事では、押田さんが入社後経験した事業開発についてエピソードも交えて語っていただきます。


Speeeを選んだのは将来を見据えた事業内容と、メンバーに任される裁量の大きさ

ーSpeeeを選んだきっかけはなんだったんですか?

そもそもITベンチャーに興味を持ったきっかけは、大学2年生のとき行ったシリコンバレー留学です。教授が縁をつないでくれて、スタンフォードの学生と交流しました。当時(2012年)まだ立ち上げ10年くらいのFacebookやGoogleを訪問し、強烈に刺激を受けました。

「これからはインターネットがくる!」そう思ってインターネット系の新卒採用をやっている会社を探したら、当時はまだ数社しかなくて…。その中でもSpeeeが一番、若手に任せてくれそうな雰囲気があったんです。代表の大塚さんがメンバーやチームに任せながら経営をされていることが、インターンシップを通じて伝わってきて、入社を決めました。


ー入社後はどんな仕事をされたんですか?

新規事業で、Webディレクターの役割を担いました。「与えられた環境で頑張って成果を出してやる!」くらいしか考えていませんでした。この時期に、インターネットの仕組みを網羅的に理解できたのは良かったです。

精鋭ばかりが集められた新規事業へ異動。試行錯誤しながら事業を大きくする面白さに気づく。

ーその後、イエウールに異動しましたよね?

当時イエウールは立ち上がったばかりで、事業の成長確度、成功確度を上げていくというフェーズでした。社内でも精鋭メンバーが集まっていて、僕だけ圧倒的に経験値も少ない若手のなか、マーケティングと事業管理を担当しました。

毎日施策のアウトプットを出すたびに、事業責任者や先輩社員から厳しいフィードバックをたくさん受けましたね。「皆が納得するいいアウトプットを出したい」と日々試行錯誤をしていたところ、あるタイミングから褒められはじめたんです。

自分でも手ごたえのある施策を出す機会が増えてきて、仕事をコントロールする感覚と事業を大きくする面白さを感じるようになりました。


ー事業成長の面白さに気づくきっかけになったんですね。少し話は変わりますが、社内の事業立案コンテスト『Entre』にもかなり参加してませんでしたか?

そうですね…『Entre』は5回ほど参加しました。事業作りが面白くて参加し続けてたのが大きいんですが、当時『Entre』で頑張っていたら、上の人が認めて引っ張り上げてくれそうな空気感もあったんです。

市場を網羅的に調査し、ゼロからどんな事業をどれくらいの資金や組織を使ってどのように展開していくかを考え抜き、実際に経営をしている役員陣からフィードバックがもらえるといった事業立案の疑似体験ができたのは、本当に面白かったですね。

ゼロベースでスタートしたヌリカエ時代。事業設計では見えなかった課題を自らプレイヤーとなり探索する日々。

ー新規事業、イエウール、Entreと経験してきてどのような点で成長したと思いますか?

新規事業や『Entre』を通じて、未経験のことを自分で調べて理解するということはかなり身につけさせてもらいました。また、周囲の優秀な方の仕事のやり方を盗み、考え方をトレースし、なぜそう考えるのかをヒアリングさせてもらい、自分の仕事に活かしていったのも成長に繋がったと思っています。

色々やらせてもらったなかで、事業成長に携わる面白さに気づき、もっと異なる領域でのチャレンジをしたいと周囲に話していました。

その結果、イエウールが黒字化したタイミングで、当時まだ事業として立ち上がっていないヌリカエに異動となりました。


ー事業成長させたからこその抜擢ですね。ヌリカエはどういう状況からのスタートでしたか?

外壁塗装の査定サービスを立ち上げるということのみが決まっているところに入りました。
ヌリカエは今でも、問い合わせいただいた方にCS(カスタマーサクセス)が直接電話するという仕組みでやっていますが、当時のSpeeeでは初めての取り組みだったんですよね。

事業調査や管理を担っていた自分も、初めての取り組みだし現場を知るということで、個人ユーザーとやり取りを行うCSをやることになりました。

サービス開始前の設計段階では、「問い合わせをくれるユーザーは購買意欲も高い方が多いはずだから、Webの問い合わせに対してコールセンターのようにマニュアル通りの対応をすればいいだろう」と軽く考えていました。

けれども、プロモーションからの問い合わせ数は机上の調査通りなのに、肝心の成果があがらない。特にCSは電話がつながらないし、いざ話せたと思ったら怒られる。問い合わせに書いてあるユーザー情報が誤っていて、電話すらできない。

事業設計当初のKPI(※)では想定していなかった課題がいくつも浮上しました。
CSはセールスで、オペレーショナルではないことも、実際やってみて初めて分かりましたね。
(※KPIとは、事業のパフォーマンスを計測・監視するために置く重要指標のこと)


ーまさに現場を知ってこその発見だと思います。そこから、どうやって改善していったんですか?

成果がとにかく出ないので、事業のKPIの再設定を行なうことになりました。ですが、どの観点で再設定したらいいかも分からなかったので、「仮説→実行→結果を基に仮説を立てる」を繰り返しました。

「ヌリカエ」ではユーザーがWeb上で見積もりの登録をいただいたあと、住まいの詳細を専門アドバイザーとなるCSが直接ヒアリングするビジネスモデルです。

ユーザーからの見積もり登録があったタイミングから即座に「今お問い合わせいただいた件で、お電話しました」とご連絡する時間帯や時期に差異がありそうと感じたらそのタイミングごとで分析を行ったり、お電話したときの一言目を変更してみたり、色んな角度で実行・検証しました。

色々検証してみた中でわかったのは、プロモーションとCSのKPIを、一緒にする必要があるということ。
例えば1,500円で100人の問い合わせをいただいても、電話がつながるのが10%、成約はさらにその中の10%だったら、成約したユーザー1人につき150,000円かかっている。

プロモーションで、いかに購買意欲の高いユーザーを獲得できるかが、そのあとで電話して実際の成約につなげるCSの成果に影響していたんです。

ここに気づくまで半年以上かかりました。KPIを適切に設定できたことで、闇雲に成果が出ない状態から抜けだしました。
明確になった問題に対し、本で知見を得たり経営陣や周囲の助けも借りたりしながら、改善を進め、ようやく黒字化を達成しました。

逃げずに事業を成長させた結果で語りたい

ーヌリカエでは上手くいくまで時間がかかったと思うんですが、不安になったこともあったんじゃないでしょうか。

不安…はありましたね。「俺ってCSのスペシャリストになりたかったんだっけ?この方向でいいんだっけ?」と悩んだこともありました。

けれども、せっかく参画できた新規事業で、逃げる自分はかっこ悪いと思いました。かっこいい自分でいたいじゃないですか。

成果が出ないなら、現場の仕事をやり切ることで新規事業の成果につながると思って仕事に向き合っていました。いつか振り返った時に厳しかったという経験ではなく、事業を成長させた結果で語りたかったんです。


ー結果で語りたい!頼もしいです。押田さんはどうして逃げずに立ち向かえたんでしょうか?

自分の仕事は「事業を成長させること」と定義していたからです。やるなら事業を大きく成長させたいじゃないですか。

たとえ自分が事業管理という肩書だとしても、自分の実務範囲を戦略や数値管理だけと決めない方が、自分のコントロール範囲も広がりますし、成果を上げられそうだと思ったんです。

実際、自分で立てた戦略を成功させるために、現場に行った方が得られることも多かったです。考えたもので成果が出なければ、実際に手を動かしてユーザーに向き合い、新しい戦略のきっかけを掴む。

何度も戦略と実行を往復するなかで成功した経験を積んでいくと、新しい方法やアイディアがどんどん浮かんできてもっとやりたくなるんだと、気づかせてもらえましたね。

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