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育児にも仕事にも全力で向き合った3ヵ月 ―新規事業の立ち上げと育児を両立する柔軟な働き方とは

Speeeでは多様な活躍のあり方を考え、事業部や職種特性によって求められる働き方や個人のライフプランとの両立を実現するため、会社として社員が長期的に柔軟に働いていけるような仕組みや制度、思想があります。今回はそんなSpeeeで、子どもの出産に伴って3ヵ月間リモート勤務を実施した中川さんに話をお伺いしました。

中川さんは新規事業の立ち上げメンバーとして営業を担っていますが、事業の立ち上げフェーズは組織内でスピード感を持ち、シームレスに連携しながら成果をあげることも多く求められています。そのような背景もあり、オフラインコミュニケーションがメインとなる組織で、リモートで勤務をしながら、どのように子どもの出産・育児に携わったのか、家庭での立ち回り、仕事の両立をどのようにこなしたのかなど、裏側に迫りました。
 

デジタルトランスフォーメーション事業本部 Housii事業 中川 皓貴

2017年、Speeeに新卒入社。イエウールの不動産企業向けセールスに従事したのち、最年少でリーダーとなりマネジメント経験を経て新規コンサル部門の立ち上げを行い、事業部MVPなどを複数受賞。
現在は新規事業Housiiのセールス兼toBのマーケティング部門として、コンサルティングからWebプロモーションまで幅広く担っている。
家族は、専業主婦の妻、2019年生まれの第1子(4月から週2のプレ幼稚園)、2022年生まれとなる0歳の4人家族。

幼稚園入園前の2歳児がいる中で、第2子の誕生の大変さ

中川
第2子が生まれる際、妻から「数カ月間は実家に帰って子育てしたい」と相談されました。上の息子は当時2歳9ヵ月で、仕事をしながら、まだまだ手の掛かる子どもを妻と自分だけで面倒をみるのは限界があるなと思っていたところでした。

しかし、僕自身日々家族を大切に考えていて、妻や子とずっと離れて過ごすのはさみしさもありました。仕事だけではなく子育てにもしっかり向き合っていきたいという気持ちもあったので、自分も育休を数ヵ月取得して一緒に東京で妻と子育てにコミットするか、平日は妻の実家に頼り自分は仕事をしながら週末だけ実家である兵庫に通うか、など色んな選択肢を考え、悩みました。

また、育休を取得するにしても、携わっている新規事業があと数か月でリリース、出産予定月の前月にはチームに新しいメンバーもジョインしており、チーム作りも大切にしていきたいなと思っていたタイミングだったんです。僕としては仕事も諦めたくないな、と思っていました。

社内で、上司やHRなど各所に相談させてもらって、リモートワークという形で仕事は諦めずにコミットしながらも妻の実家に一緒に帰り、育児も仕事も両立できるような体制を取ることになりました。子どもが生まれる予定日は1月だったので、12月の年末年始休暇から実家のある兵庫に戻り、育児が軌道に乗るであろう翌年3月までがフルリモートでの勤務という設計でした。

現在Speeeでは、パートナーが出産を控えている社員に対し、希望に応じて労務が事前ガイダンスを行っています。

ガイドブックをお渡しし、費用の話や、出産立ち合い休暇というような社内制度のレクチャー、福利厚生について共有するのはもちろん、ただ単に「育休」を推奨するのではなく、家族全員がどうしたいのかをヒアリングしたうえで働き方の提案をしています

個人が背負っているミッションや成果、キャリアを棄損せずに、組織とコミュニケーションをどのようにデザインをしたいのか。ご本人と家族と、上司と、会社と、全員で考え、共有し、形作っています。

会社や上司、妻や両親といった全員との対話のなかで、働き方を決めていった

このライフイベントを機に、数か月のフルリモートに舵をきるうえで会社内や家庭内で事前に準備したことは何かあるのでしょうか?

中川
上司である和樹さんとも相談し、クライアントとの折衝などは全てZoomでオンライン商談にしています。コロナ禍ということもあってここは何も問題なく移行できましたね。社内では、リモート勤務になる前に信頼関係を築けるよう、意識して密にコミュニケーションを取っていました。

ポイントだったのは、家庭内で役割分担を事前に取り決めておいたことかもしれません。上の子どもは保育園に預けずに自宅保育だったので、生まれてきた子どもの世話だけではなかったためです。

義父母もまだ仕事をされている中で頼らせてもらったんですが、役割を分けて動いています。曜日でシフトを決め、昼寝の付き添いや昼食・夕食の世話など、2人の子どもに対して4人の大人でどのように関わっていくのか事前に設計をしました。そのおかげもあって、生まれてからもスムーズにいきましたね。

正直、上の子がおらず1人目の出産ということであれば、出産の立ち合い時は別として、何か力になりたいと思っても出産直後に男親ができることが少ないですからね。第2子だとその辺は違うなと感じました。


フルリモートは1人。しかしオフラインよりも繋がっているように感じられたことも

仕事も育児も、役割のすり合わせの重要性を唱える中で、実際に第2子が生まれたあと、その事前の設計は上手くワークしたのでしょうか?

中川
実際にリモートでの働き方としては、曜日で分けて義父母と調整していました。
火・水は僕のクライアントが不動産企業ということもあり休みなので、子どもが目の届く範囲で仕事をし、月木金は近くの義父の仕事場で間借りさせてもらい集中して業務をしていました。

自分の育児における役割としては、上の子のお昼寝のタイミングで付き添ったり、上の子が母親と遊んでいるときは下の子の面倒を見ながら仕事を進めたり、夜子どもを寝かしつけてから仕事に戻ったりしていました。育児が必要なタイミングと、仕事に集中できる時間を事前に計画し、柔軟にメリハリを付けながら両立できたと思います。

実際のチーム内での雰囲気などについても教えてください。

社内のコミュニケーションは最初いつでも繋がれるZoomRoomなどを用意していたときもあったのですが、Slackのハドルミーティングが一番ハマりました。SpeeeはSlackをメインのコミュニケーションツールとして使っていますが、ハドルを使うことでオフラインとほぼ変わらないコミュニケーションを実現することができたなと思います。

むしろ、オフラインで出社していたときよりも、繋がっているように感じられるタイミングもありましたね。

あとは、チームの皆のいい意味での気遣いのなさや、フォローしてもらえる環境はありがたかったです。やはり、自分がリモートなことに対して自分自身が過剰に気にしてしまうんですよね。それに対して、チーム全体が良い雰囲気を作ってくれたんです。「リモートどう?」とかそういった不要なコミュニケーションはほぼなかったかなと。
僕が子育てにもしっかり向き合っていることを認めてくれて、みんながフォローしてくれたこと、本当に感謝しています。

もちろん、僕自身、過剰に負い目を感じないように心がけていました。どんな働き方をしていようと、シンプルに期待役割や成果に向き合い、どうやったら成果を残せるかに思考を通すべきなんです。

もともと気にしないタイプである自分であっても、こんなに考えてしまったというのも事実なので、実際当事者になったときに気になってしまうメンバーもいるかもしれません。けど、気にしている時間はもったいないですよね。


フルリモートでの悩み、葛藤。そして家庭との関わりとは

働き方は違えど、今まで通り成果と向き合ってきた3ヵ月。これまで通りコトに向きあいつつも、とはいえ、いつもと違う働き方によって悩むポイントはなかったのかについても伺いました。

中川
このフルリモートで勤務していた間、悩みがなかったわけではありません。正直、成果としてめちゃくちゃ上手くいっていたわけではないのも事実です。これはリモートだからなのかとか関係なく自分自身の問題かもしれません。

しかし、そういった小さな悩みは出てきている一方で、良かったこともたくさんあります。
僕自身は家庭からパワーをもらえるタイプなんですが、ちょっとした家族のコミュニケーションでも元気をもらえていたので、近くに家族がいながら仕事にもしっかり向き合える環境があったというのはリモートしてよかったなとは思いますね。

また、この帰省のタイミングで親戚の法事だったりちょっとバタバタしていたんです。そのときに妻や子どもの傍にいてあげられたのも良かったですし、休日はワンオペで子どもを見ることができたので妻にはとてもありがたがられましたね。これは一緒に実家に帰っていないとできなかったことなので。

2022年4月から育児・介護休業法が改正され、「男性育休」がより奨励されています。Speeeでも年間20名近い従業員のお子さんが生まれていますが、実際にパートナー向けガイダンスを行うと、家庭も大切にしたいという想いと、仕事の両立について悩んでいる人もたくさんいます

その実現手法が見えず不安になっている社員に対し、どうやって自分がやりたいことを実現していくか、育休という選択肢が最善か、他にもやり方はあるのか、の提示を行っています。中川さんは、育児にも全力で向き合いながら仕事の手も止めたくないと考え、フルリモートで両立するという働き方を選びました。その選択について、振り返ります。

中川
僕は、第2子の誕生に伴う育児への関わり方をどうしようかと考えたとき、子育てにも関わっていきたいと思いつつも、少しでも仕事に触れておいた方が自分は安心するなと思ったんです。そうして選んだ選択肢が、フルリモートでした。
実際、働き方の設計タイミングから、僕の場合は「仕事できる時間も割と確保できるな」というのが認識できていたのもあるかもしれません。それは、義父母が自営業をされていて一緒に育児をしてもらえる環境だったことなど、恵まれていたからだと思います。

育休を取った場合は育児にコミットすればいいし、子育てにも仕事にも触れていたい僕の場合はこのような選択があっただけです。
何となく世間の流れに任せて育休しようかなとかで意思決定をしてしまうと、家庭においても仕事においても中途半端になるのではないでしょうか。自分で理想を考えて意思決定することは大切で、その意思決決定を正解にしていくというスタンスが大事だし、その意思決定に対して、会社が全力で応援してくれることがありがたいですね。

Speeeはこれまでも、長期的に組織が価値提供ができるよう、個人の働き方や制度を都度アップデートしてきましたが、これからも、働き方や制度のアップデートは、続いていきます。

仕組みや制度は、従うだけではなく、随時アップデートし、従業員の支えになっていきたいと考えていて、今後もよりよい仕組みや制度が根付く会社でありたいと思っています。

家族と


事業責任者 齋藤 和樹


中川くんから相談をもらったとき、はじめに思ったことは「応援したい」ということでした。

ただ、立ち上げて間もない新規事業において重要な役割を担っていた中川くんが、オフラインコミュニケーションがメインとなるチームの中で1人だけリモートになるということは、非常に不安のある意思決定ではありました。
実際、ふとしたときの会話からアイディアが醸成されて事業がアップデートされていくということが日常茶飯事に起こっていたためです。そんなチームに中川くん自身がついていけなくなり、疎外感を持ってしまうのではないかというのも懸念していました。

結果として、子育てにも関わりながらリモートワークをするという働き方を問題なく終えられたのは、中川くん自身もそれを受け入れるチームメンバーも良い意味で遠慮せず、コミュニケーションの密度を維持できたことが大きかったかと思います。
中途半端な遠慮はむしろ問題を大きくしてしまうことに繋がります。Speeeらしく「素直・謙虚・率直」にコミュニケーションを取れたことが良かったと感じています。

加えて、家族が近くにいることで逆に中川くん自身が事業に対して集中してコミットすることができたのも大きかったのではないでしょうか。
こうして事業に集中できる働き方の選択肢を提供できたことは、組織としても非常に良い経験となりました。引き続き働き方のアップデートを進めていきたいと思っています。