創業以来、Speeeは企業文化として新卒採用や若手育成を大事にしてきました。
年齢と活躍は関係がないこと、むしろ若い力だからこそ時代を前に進める意欲をパワーに変えられると信じ、経営の重要なミッションの一つとして取り組み続けています。
今回は、そんなSpeeeの考えるこれからのエンジニアの在り方について、Speee開発組織の想いを紐解いていきます。なお、新卒採用全般におけるSpeeeの想いは代表の大塚の記事も併せてご覧ください。
学生に伝えたい、Speeeエンジニアが挑戦する世界観
よくエンジニアに求められることとして「定められた技術課題に対して技術を通して解決する」というものがあります。これも大事なものではありますが、Speeeがエンジニアに求めるものは、市場の課題をある一面だけでなく様々な視点から多面的にとらえて、技術によってその課題を解決していくことです。
ソフトウェアは、実現しようとしている課題解決の写像であるため、課題の複雑さやビジネスの複雑さはそのままソフトウェアの複雑さに繋がっていきます。その複雑さゆえに、ユーザーの課題につながらないプロダクトや、使われない機能を開発することによる技術的負債の増大が生じます。
そのような事象が起きないためにも、ユーザーへ価値提供していくソフトウェアをデザインしていくためには、ビジネス構造を正しく理解することが不可欠なのです。
また、リアルとデジタルが立体的に絡み合うSpeeeのビジネスには、ただデファクトスタンダードを当てはめればよいというような解法はありません。ソフトウェアをどのようにデザインしていくか?は答えのない問いとなり、課題と向き合いながら仮説を立て、一つひとつ実験を繰り返していくほかありません。
これらの取り組みに対し一人ひとりがチャレンジし続けているのがSpeeeの開発組織なのです。
そんな、想いをまとめたのがこの「コードで紡ぐ、事業探究。」というコンセプトです。
これまでのWeb開発と何が違うのか
Speeeが掲げたエンジニアに求めている「事業探究」は、従来のエンジニアリングに求めているものと何が異なるのでしょうか?SpeeeのVPoEである大場はこう答えます。
2000年代のはじめのころ、技術は特定のメーカー、ベンダーのものであり、ベンダーが発信する技術動向を追いかけ続ける必要がありました。また、採用している技術によって開発するプロダクトの品質に強く影響していた時代がありました。
そこからオープンソースの発展によって技術がコモディティになっていくなかで、1〜2人のエンジニアが生み出したWebサービスが世界中で使われるようになってゆくのを見てきました。小さなアパートの1室で生み出されたソフトウェアを世界中の人々が使えるために課題となったのが、いかに大規模なトラフィックを捌くのかであったり、いかに大量のデータを扱えるかということでした。
こうした課題を解決することで大きく成長を遂げたのがFacebookやTwitterです。IT技術のなかにあった限界を突破し、より多くのユーザーに対してインパクトをもたらすというのが技術革新の主題であったと言えるでしょう。
このように、技術課題にフォーカスするようなエンジニアが重宝されていた時代から、
エンジニアに求められていく考え方にも変化がでてきます。
近年、これまでPCにインストールして動作するようなスタンドアロンの業務システムに対してクラウドを活用し、Webサービスにしていく流れがありました。それがSaaSです。
例えば会計システムのように業務アプリケーションとして必要な要件や機能が明確にあるシステムをWebサービスにするためにエンジニアリングするといったことです。
こういった業務システム開発のなかでも、それまでWebサービスによって培われた、開発スピードを優先したアジャイル開発であったり、サービスの使いやすさを重視したUI/UXを構築していくためのデザイン思考というような、技術や開発プロセスが応用されていきました。
その結果、エンジニアが技術と合わせてユーザーの理解を深めて課題を解決するためのノウハウが磨かれていったのです。
これがワンイシュー・ワンプロダクトである業務システムのWebサービスが多く生み出された力となっていきます。
残されている課題における、エンジニアの役割
今残されている世の中の課題は、これまでの技術革新の波に乗れず取り残された課題です。
それは、ITが活用できるとは想像されていなかったり、業界の商慣習としてアナログを前提にしていたりと、全く技術の浸透が出来ていなかった領域に多く存在しています。デジタル化に向けた難度が極端に上がってしまっているのです。
例えば、法規制やアナログ時代の慣わし、消費者体験の乏しさなどから、事業の価値提供までに時間を要してしまうことや、大手企業と中小企業のデジタル投資に差が生まれ、技術革新が進めば進むほどサービスを受けるユーザーのデジタル体験格差が広がり続けること、なども影響しています。
つまり、課題が多面的であるがゆえに、ユーザーへの提供価値は奥行きがあり、定義が難しく、価値あるプロダクト開発をする難度が非常に高いのです。
この領域においては、技術課題にフォーカスし大きなトラフィックをさばいて、大きなデータを扱えることだけでは突破できません。
なぜなら、今までデジタル活用されていなかった領域では、技術課題と同じかそれ以上に「だれのために」「なぜつくるのか」といった事業課題が重要であり、技術課題の解決として「どうやるのか」が正しくとも、事業課題の解決する方向としては間違っているということがあるからです。
より市場に根ざしたデジタル活用をしていくために社会実装していくには、複雑に絡み合った実社会の課題をひとつの視点だけでなく、多面的な視点から解きほぐし、「なぜつくるのか」を明らかにしていくような社会全体のデジタルアップデートが不可欠になります。
このような不確実な市場に対して、仮説検証と実装を繰り返し探究を深めていくのが事業探究エンジニアです。
ますます混迷を深めていく時代のなかで、プロダクト開発者としてではなく、
プロダクト当事者として技術で事業を成長させる事業探究エンジニアの存在は貴重なものになってきています。
「コード」の可能性を最大化する
世界のどこで発信されたことでも、またたくまに増幅し、急速に広がる様子をみたり、世界中の欲しい物がいままでと比較して何十倍も何百倍も手軽に手に入ったりするようになりました。
強力で偏在する課題に対し、テクノロジーによってさまざまな価値が生み出され、私たちはデジタルテクノロジー無しには生活できないのではないかと思うような世界になっているのです。
このテクノロジーの、そしてコードの可能性を、現代の課題に本質的に活かしたいと思っています。
「コードを紡ぐ」というキーワードには次のような想いを込めています。
コードにより社会の課題を紐解きデジタル実装の中で様々な関係者を結び直し、
社会の動きを設計し直す、そして社会の新しい標準をつくる
今まで出会った多くのエンジニアを志す方が口にしていた「技術的に成長したい」や「技術を極めたい」という想いは尊いものです。技術そのものへの好奇心や技術の背景にある仕組みを解き明かすことに興味が無ければ、技術の力を活かすことができません。
一方で、技術課題の比重が大きい領域は成熟し始め、現代では技術を極めることだけでは、解決に至らないことが増えてきた現実を皆さんに知ってもらいたいとも思っています。
そして、事業探究という創造的な探究ができるエンジニアを増やし、社会がデジタルアップデートすることでSpeeeは社会への役割を果たしていきたいとも願っています。