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事業開発を成功させる企業体質 ~事業開発の壁を破壊する4つの創造~

わたしたちSpeeeは事業領域の異なる10の事業を開発しています。
一般的な事業開発の成功率は10%未満と言われていますが、Speeeの成功率は50%です。

この50%の事業成功を生み出す背景には、ユーザー調査、市場選定方法、フレームワークなど様々なナレッジがあります。

一方でナレッジ本を読み漁り実践を繰り返してみたがそれでもうまくいかなかった、そんな経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ナレッジやノウハウだけでは決して再現できないのが事業開発の難しさです。

Speeeはナレッジやノウハウも大切だと思いますが、それ以上に経営レベルで事業開発を成功させる企業体質を作ることこそが本来優先されるべきだと考えています。

本記事では、新規事業の成功を、「Speeeの企業体質」という観点で紐解いていきたいと思います。
事業開発のアンチパターンとともに、Speeeなりの経営思想を2021年6月実施事業開発学会COO田口パートをもとに説明していきます。

田口 政実
株式会社ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)にて
マーケティング、プロダクトマネジメント、新規事業開発に従事。
その後スタートアップに転身し、事業本部長・経営企画室長などを
歴任後、COOに就任。事業統括とマネジメント全般を主導し、
東証マザーズ市場への新規上場を果たす。
2017年、COOとしてSpeeeにジョイン。経営戦略から事業管理、
組織設計まで幅広いミッションを担う。

高い事業開発成功率を作るための科学

私たちは経営思想の核に、事業開発をおいています。社会課題を解く新たなソリューションとしての事業を開発する、そういった経営の姿勢や想いは社員にも伝わっています。要するに本気で事業開発に向き合っているということです。

新規事業コンテストを開催したり新規事業専門の担当部署を設置する会社も多いと思いますが、もしそれが「余剰資金や異動可能な人員を充てて、将来に備えよう」というものであれば成功は覚束ないでしょう。そもそも事業開発を余剰戦力で成功させるのは困難ですし、加えてそうした温度感の低さや向き合い方は現場に伝わります。

経営思想がしっかり伝わるように、Speeeでは事業部単位でも理念を設定しています。今回ご紹介するDX事業本部では、「DX Democracy」というミッションステートメントを掲げています。理念は戦略の核です。何処で何をするのか、事業を通じて成すべき事と自分たちのあるべき姿を表すものです。


私たちがDX Democracyというミッションステートメントに込めた思いはこちらです。

DXという言葉が一般化しても、実際にデジタル化の恩恵を受けているのは社会の一部分においてのみです。DXの本質は、バリューチェーンあるいはバリューネットワークとでも言うべきビジネスプロセス全体の再開発だと考えていますが、ベンチャー企業として、今はまだその水準に達していない領域の変革に貢献しなければならないと思っています。そうすることによって、エンドユーザーから事業者まで誰もがデジタル化の恩恵を受けられる、つまりは「DXの民主化」が実現された世の中を目指していくという思いを込めて「DX Democracy」を策定しました。(https://speee.jp/news/1841/)

戦略が変われば、社員1人1人の意識も変わります。「DX Democracy」が共通言語になり、誰もがデジタル化の恩恵を受けられるとはどういうことか、改めてメンバーが主体的に解釈を進化させていきました。

事業開発を心技体で語るとするならば、これが「心」。中核となる一つ目の創造です。そして、事業開発に適した「体」を鍛えることを意識しつつ、経営の随所で事業開発を成功に導くための「技」も磨いています。では、それらは具体的にどういうものでしょうか。

①事業開発のトータルシステムを作る
②事業開発のサンドボックスを作る
③事業開発のチームを作る
今回はこれら3点について説明したいと思います。

事業開発のシステムを作る

一般的に新規事業の開発は特殊技能的に語られることが多いです。また、このテーマを単体で扱うとテクニックやナレッジの話にとどまることも多く、複雑に絡み合った全体像を捉えられませんし、上手くいきません。

経営視点でこれを俯瞰すると、会社全体の在り方そのものが事業開発という取り組みの成否に大きな影響を与えていることがわかります。
重要なのは、事業開発を促進するシステムをトータルでデザインすることです。


この図を少し紐解いてみましょう。

会社経営は事業ポートフォリオのマネジメントと言い換えられますが、事業開発の第一歩は、ポートフォリオのどの部分にどれだけの資源を傾けるのか、つまりはポートフォリオ変革に向けた戦略投資にまつわる意思決定です。

システムの最上段に位置し、それに対応した当該事業の成長戦略、資金や人材といった投入資源の管理運用、実際に戦略を実行する組織やオペレーションの組成、さらにはそれらを載せる価値観や文化といったものが、互いに整合性を保ちつつ存在しています。したがって、こうした全体像を踏まえつつこのテーマを考える必要があります。


一例を取り上げると、上記の画像でも垣間見られるような管理会計や人事システム。
オペレーションが確立し予測も立てやすい既存事業と比較し、新規事業は不確実性やリスクが高いものです。そうした特性をもった仕事に取り組む組織、あるいはメンバーに、既存事業と同じ目標管理や評価の方法を適用してしまえば当然にして問題が生じます。事業開発の特徴に配慮し、取り組むメンバーを不安にさせない、損をさせない、そうした事業管理手法を整えておく必要があるのです。

その上で更に、図のような調査ノウハウやプロトタイプの検証手法などをアセットとして蓄積し、事業開発の成功率を高める仕組み作りに取り組んでいきます。

これで事業開発をする環境が整ったとしましょう。

いよいよ事業開発を進めるわけですが、ここにもまた大きな壁が登場します。
「着想」「着手」の難しさです。いかに良いアイディアを生み、数多のハードルを越えて実際にトライするのか、これを次章で考えていきましょう。



事業開発のサンドボックスを作る

新規事業開発の現場では「着想」「着手」は頭を悩ませる最初のポイントではないでしょうか?
そもそも成長戦略の軸に事業開発を据えるのであれば、1つの凄いアイディアをどう生み出して吟味するかではなく、いかに連続的にアイディアを生み出し速やかに実行に移す環境を整えるかが関心事となります。これを実現するために私たちは「事業開発のサンドボックス」を用意します。
サンドボックスとは、言い換えると大戦略のアウトラインです。
まずその事業における自社の基本的な勝ち筋を定義します。そして、様々なトライ&エラーがその勝ち筋に沿って進行し、アウトプットが競争優位に資するアセットとして構築されるよう工夫した制約を設けます。制約は具体的には戦略KPIの定義ということになりますが、事業やサービスのアイディアは、そのKPIの向上に寄与するか否かという視点で評価されます。要は、挑戦の価値があるかを判断する分かりやすい基準を設けるということです。


着想や着手のハードルを上げているのは、既存事業との画一的な比較であったり、失敗を恐れる心理的な抵抗です。特に、多産多死型ではない、成功すべくして成功することを良しとする特性の事業、あるいはそうした文化を持つ組織では、これを克服する仕掛けが必要です。

一見して成功確率や投資価値を測りにくいものでも、戦略KPIと照合してこのベクトル上に乗っていることが確認できればアイディアの価値が認められます。逆に、アイディア単体としては魅力的でも、大戦略の前進に貢献しないのであれば適しません。サンドボックスの中で実現する、制約と引き換えに得られる自由と失敗にすら価値を与える心理的安全性が、メンバーの想像力と行動力を引き上げていくのです。

サンドボックスの具体事例に関しては後日どこかの記事で共有できればと考えています。

事業開発のチームを作る

最後に、事業開発を成功させる人と組織の話です。当然ながら、事業開発という創造的な戦略を推進するには、強い人と組織を創ることが決定的に重要です。つまりこの取り組みは、リーダーシップとマネジメントといった経営的な問題を多分に内包しています。

私たちは、「天才は、要らない。」という覚悟からも一部の特異な才能に依存しない組織を目指しています。(詳しくは:https://media.speee.jp/entry/bizdev02)

事業開発においても、リーダーシップとマネジメント、この2つの経営力をチームに備え付け、発揮させる必要があります。そして、特に事業開発の初期段階では、チームに適切なリーダーシップとそれに基づく意思決定力が備わっているかどうかを注視しています。事業開発を自社に閉じた問題ではなく、企業間の競争や市場の進化圧への対応策という角度で捉えれば、スピードは成功に欠かせない要素だからです。

事業開発をPDCAサイクルで表現するなら、特にその回転速度に大きく影響するのは意思決定力の有無です。適切な意思決定が、思考や実験の密度を担保します。そしてリーダーが備えるべき意思決定力は、現場で実際に意思決定を重ねることでしか鍛えられません。

そのため現場で意思決定をするサポートをSpeeeでは徹底的に行っています。
(参考:https://www.fastgrow.jp/articles/speee-ito-masuda)



事業開発を成功させる企業体質

これらは、私たちが事業開発を成功させる企業体質を作るために大切にしていることです。
経営的な視点で事業開発に向き合い、社員1人1人が事業開発に向きあえる仕組みを作ることがSpeee流の事業開発への挑み方です。

田口は語ります。
「これはブルーオーシャンを探し求めるような話ではなく、我々だけにしか航海できない厳しい海を切り拓いていく取り組みだ」

私たちは50%という高い事業成功率を誇る一方、50%の失敗した事業もあります。さらなるSpeeeらしい事業開発を求めていくことが必要です。

天才に依存しないSpeeeが未来をより良くしていくために更に体質を更新し続け事業開発を実現させていきます。